「美」には正解がある?ない?美の不思議。

「美しさ」とは何でしょうか?

人によって美しさの基準は異なりますが、脳科学の観点から見ると、
美しさは脳が感じる快感や興味の反応と密接に関係しています。

まず、美しさを認識するには、
視覚情報を処理する脳の部位が重要な役割を果たします。
視覚野と呼ばれるこの部位は、後頭葉にあります。

視覚野は、目から入ってくる光の信号を解析し、色や形や動きなどの特徴を抽出します。
そして、それらの特徴を統合して、
物や人や風景などの像を形成します。この像が私たちが見ているものです。

しかし、美しさは単に見たものそのものではありません。


美しさは、見たものに対する私たちの感情や評価や記憶などの要素も含みます。
これらの要素を処理する脳の部位は、前頭葉や側頭葉や扁桃体などです。
これらの部位は、視覚野から送られてくる像に対して、
自分の好みや価値観や経験などを反映させて、美しさを判断します。


例えば、自分が好きな色や形やスタイルだと感じたり、
自分にとって意味のあるものだと思ったりすると、美しさを高く評価します。

美しさには絶対的な原則ってあるの?

例えば、自然界に見られる調和や均衡、健康や若さを示す特徴などは、
多くの人が美しいと感じる普遍的な美に該当する傾向があります。


これらは、生存や繁殖に有利な行動を促すための
進化的な報酬系として機能していると言われています。

美しさを視覚の情報として判断することは難しいかもしれません。
美しさは主観的なものであり、人によって感じ方や好みが異なります。

しかし、デザインの美しさには一定の基準や原則がありますね、
デザインの要素や構成は分析することができます。
例えば、色彩や形態、バランスや対比、リズムや統一感などの観点から、デ
ザインの調和や効果を検討することができます。
この方法では、デザインの品質や効率を測ることができます。

また、美しさを反応するには、
報酬系と呼ばれる脳の回路が重要な役割を果たします。
報酬系は、脳内にあるドーパミンという神経伝達物質を放出することで、
快感や幸福感やモチベーションなどを生み出します。

報酬系は、美しさを認識したり評価したりする部位とつながっており、
美しさに対してポジティブな感情や行動を促します。
例えば、美しいものを見たときに笑顔になったり、
近づいたり、触れたりしたくなったりするのは、報酬系が活性化されているからです。

個人の美的感覚はどのように形成される?

美的感覚は複雑な心的なプロセスであり、生物学的・文化的・社会的・個人的・心理的な要因が相互に作用して形成されます。
美的感覚は個人に固有のものであり、主観的なものですが、同時に普遍的なものであり、
客観的なものでもあります。
美的感覚は人間の心の構造を理解するための重要な手がかりとなると考えられます。

生物学的な要因:

人間は進化の過程で美しさに対する感覚を獲得しました。
美しさは生存や繁殖に有利な行動を促すための報酬系として機能します。
そのため、人間は自然界に見られる調和や秩序、遺伝子の質や生殖能力を示す指標として美しさを感じます 。これらの感覚は人間の脳やホルモンによって制御されており、人種や文化や時代を超えて共通しています。

文化的・社会的な要因:

人間は社会的な動物であり、他者との関係やコミュニケーションにおいて美しさを重視します。
美しさは自分の属する集団への帰属意識や同一性、自分の目指す理想像や憧れの対象として機能します 。これらの感覚は文化や社会によって形成されており、多くの場合、普遍的に受け入れられる基準や価値観が存在しています。

個人的・心理的な要因:

人間は自己意識を持つ存在であり、自分自身や他者との関係において美しさを探求します。
美しさは自分のアイデンティティや記憶、自分の気持ちや目的として機能します。
これらの感覚は個人の性格や経験、気分や状況によって変化しますが、同時に普遍的な感情や欲求に基づいています。

美には普遍的な側面があるのはわかった、けれど。

人間が美しさに対して共通する感覚や基準を持っているということは理解できました。
けれど、これだけでは美の全てを説明できません。
また、美は言葉で語ることができないものについて沈黙するしかないと言った
哲学者ウィトゲンシュタインの言葉に象徴されるように、
超感覚的な存在であり、論理的に定義することが困難なものでもあります。



しかし、それでも私たちは美について考えたり話したりすることがやめられません。

それは、私たちが美に対して共感や感動を覚えるからです。
共感や感動は、私たちが自分自身や他者との関係において美を探求する動機や目標を表しています。
私たちは自分の好みや感性に基づいて美しさを判断しますが、それらは過去に受けた影響や現在の環境に依存します。
その意味で、美は個人的なものですが、同時に普遍的な感情や欲求に基づいています。

以上のように、美しさは脳が感じる複雑な現象です。
しかし、これらの説明はあくまで一般的なものであり、個人差や文化差や状況差などによっても変わります。
また、美しさに関する研究はまだ進行中であり、未解明な部分も多くあります。

あなたの美はどこにありますか。

心のままに惹かれるもの、その感覚が美を知るヒントです、いつもいつでも自分の感覚を大切にしたいですね。